神様のいる街はここですか?

【とほん読書ノート005】

「文」と「本」と「旅」こそが自分を支えていた。「旅」を街に差し替えて「文と本と街」でもいい。自分が旅に出る理由は、いつも歩いているなじみの街とは別の街を歩きたかったからだ。 P37


吉田篤弘の小説が好きで読んできた。大正ロマン昭和モダンな雰囲気を持ち、ハイカラで西洋的な道具仕立て。少し気取った物腰をごく自然とまといつつ、どこか人懐っこい人たち。吉田篤弘が神戸を好きだと知り、その世界観が腑に落ちた。


『神様のいる街』は吉田篤弘が高校を卒業してから結婚するまでの自伝的エッセイ。学校をさぼり神保町に入り浸り、時間をつくってお気に入りの神戸の街を訪れる吉田篤弘。自分の生きる世界の手触りを確かめ、神保町で、神戸で、運命の歯車が少しづつ動いていく。


少し小ぶりで手になじむ造本。余白の多い文字組。夏葉社らしい佇まいに、クラフトエヴィング商會らしい洒落た雰囲気を持つ装幀。本文の中で古本屋の店主が会計をする際に本をみて「これは、いい本だよなぁ」と思わず声をもらす場面があるが、この本もそう言いたくなる。


これは、いい本だよなぁ。

2018/07/03

とほん / 奈良大和郡山の本屋

奈良大和郡山にある小さな本屋です/大切に持っていたくなる本/長く読み続けたくなる本/読んで良かったと思える本/そんな本を販売していきたいです。 営業時間:11時~17時 木曜定休 住所:奈良県大和郡山市柳4-28

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